ツール・ド・文芸誌新聞広告2015〈第1ステージ〉

毎月始めになると、各出版社の文芸誌が一斉に発売になる。

文芸誌が発売になると、ぼくが購読している新聞紙では、毎月第2面の下段に各誌の広告が並んで出稿される。

今月発売されるのはどれも2015年1月号だ。

ちょうどキリがいいので、各誌の新聞広告を見比べてみて、どの広告が一番ぼくの購買意欲をそそるかを、毎月コメントと共に紹介してみたいと思う。

どうせなら、レース形式にして、1年間の王者を決めたいと思う。キリがいいし。

題して、『ツール・ド・文芸誌新聞広告2105』。

あくまでぼくの興味の範疇で選ぶので、みなさんも自分のベストを探してみてください。

では、創刊順にいってみよう。

まずは新潮(1904年創刊)。

文芸誌_0001

新潮の新聞広告の特徴は、横組みであること。

電子書籍の普及とともに、日本語による文学作品の横組みという試みがなされているが、なかなか普及までには至らない。

2013年に第148回芥川賞を受賞した黒田夏子の『abさんご』は、その固有名詞を使用しないという独特の文体とともに横組みであることでも話題となったが、それ以降、横組みの流れというものはなかなか続かない(早稲田文学冬号の最果タヒ『星か獣になる季節』がたしか横組みだったか)。

新潮も、広告は横組みであるが、誌面では従来通りの縦書きを採用している。

さてさて、中身であるが、今月の再注目は「ガルシア=マルケス未邦訳短篇集」であろう。

「未邦訳短編」ではない。「未邦訳短篇集」なのだ!

訳者は『謎解きガルシア・マルケス』の木村榮一氏。これは見逃せない。

他に人気の覆面作家・舞城王太郎の書き下ろし『淵の王』と、日常の恐怖を描くブライアン・エヴンソンの短編『グロットー』、尾辻克彦追悼対談が気になるところだ。


新潮 2015年 01月号をAmazonで購入

続いて文學界(1933年創刊)

文芸誌_0002

文学界は横組みと縦組みのハイブリッド。

そして、なんといっても表紙が変わったことをアピールする背景イラスト付き。

来年の表紙はイラストレーターの柳智之さん。

今年のストーリーを感じる関口聖司さんのイラストも良かったけれど、来年の外国の文芸誌みたいなテイストも嫌いじゃない。

内容については、横尾忠則による高倉健追悼寄稿が読みたいところ。

合作『キャプテンサンダーボルト』が出たばかりの阿部和重+伊坂幸太郎のインタビューも面白そうです。

あとは壇蜜の掌編……。


文學界 2015年 01月号をAmazonで購入

さて、お次は群像(1946年創刊)。

文芸誌_0003

群像は縦組み。

こちらも表紙デザインが背景になっていますが、帆足英里子のデザインは今年も変わらないみたい。

ちょっとネタ切れ感があるけれども……よく見ると「小川洋子」の上に鷹がいて、「一富士二鷹」。

じゃあ、どこかになすびもあるかもと探してみたが、どうやらないみたいだ。

中身であるが、松浦寿輝の『石蹴り』というタイトルがまず引っかかった。

コルターサルと関係があるのかな。

そして『未闘病記』で野間文芸賞を獲った笙野頼子のインタビューが気になるところ。

いまは切れているが、ぼくもステロイド治療を受けていたので、『未闘病記』は身につまされる話だった。


群像 2015年 01月号をAmazonで購入

最後に、すばる(1970年創刊)。

文芸誌

こちらも新年号ということで、恒例の掌編特集となっている。

岡田利規、『メタモルフォシス』の羽田圭介、松田青子の作品が気になるかな。

堀江敏幸が今年ノーベル文学賞を受賞したパトリック・モディアノの論評を書いているのも読んでみたい(余談だが、今年のノーベル文学賞の発表の時、ニュースで村上春樹の受賞の報せを待つファンたちの中継を「6次元」からしていて、発表の瞬間、6次元のナカムラクニオさんが「あ、パトリック・モンディアーノ!」って叫んで悔しそうにうなだれたのは、個人的に今年の流行語大賞です)。

しかし、今号はなんといっても盟友松田哲夫による赤瀬川原平追悼寄稿だろう。これだけはなんとかして目を通さねばなるまい。


すばる 2015年 01月号をAmazonで購入

 

ということで、各誌の新聞広告を眺めてみたが、今月のステージ優勝は「文學界」に決定したいと思う。

表紙のリニューアルもさることながら、横尾忠則や壇蜜の起用など、文芸誌のマンネリズムから脱却するための内容の刷新、そのチャレンジングに期待をこめて、今月のステージ制覇としたいと思う。

「文學界は1回目の受賞です」

〈ツール・ド・文芸誌新聞広告2015〉
新 潮
文學界 ☆
群 像
すばる

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