チープであるということ // 細倉真弓〈CRYSTAL LOVE STARLIGHT〉@G/P gallery

細倉真弓は1979年京都生まれ。立命館大学文学部、日本大学芸術学部写真学科を卒業後、第23回及び第25回ひとつぼ展に入選。2012年に出版された写真集『KAZAN』は現代日本の若者の繊細な姿をとらえたものとして注目され、FORM写真美術館にもその作品が収蔵されている。

本展は、1992年に群馬県の飲食店「クリスタル ラブ スターライト」で実際にあった売春防止法違反事件の新聞記事を契機として、国道沿いの風景とネオンサイン、モノカラー(モノクロフィルムで撮影し、カラー印画紙の1色だけを用いて感光させる)による若い男女のヌード写真を組み合わせ、目に鮮やかな総天然色的な猥雑なイメージを出現させている。展示方法にも工夫がなされており、額装されたプリントの他に、テーブルの上で手袋をしてめくってみることができるプリントも据えられている。また、カタカナで「クリスタル ラブ スターライト」と書かれたブルーのネオンサインのインスタレーションあり、同様のカタカナが刻印された100円ライターありと、写真以外の表現方法によって架空の世界観の徹底的な演出がなされている。

しかしこの、「クリスタル ラブ スターライト」という名詞を3つ繋げただけの、店名のチープさといったらない。このことばのチープさに敏感に反応し、妖しくかがやくネオンの偽りの光を浴びながら、どこへ行こうとも変わり映えのしない郊外のロードサイドの光景や、内なる情動と乏しい経験のあいだで葛藤する若者の「愛」を俯瞰してしまうあたり、現代的な写真に求められる知性の領域を備えている作家だなという印象だった。

本展は恵比寿のG/P Galleryで8月10日(日)まで。同タイトルの写真集がTYCOON BOOKSより出版予定。

『KAZAN』artbeat publishers
細倉真弓

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