#009 「エナジードリンク×アルコール」の酩酊のなかに、ひとは何を見るのか

エナジードリンクには、良い思い出がない。

前職のとき、精神的に追いつめられていたぼくは、ある日ついに限界に達した。

仕事が終わってふらふらと帰る道すがら、妻に「もう限界だと思う」というメールを送ると、とにかく無事に帰ってきてという返信だった。それでなんとか自宅最寄り駅に着くと、そこには妻が待っていた。

なかば支えられるようにして帰宅したあとで、妻はぼくが「モンスター エナジー」を手にしていたことを教えてくれた。どうやら途中のコンビニで購入していたらしい。普段エナジードリンクなど飲まないぼくが、まだ無理を重ねるつもりだったようだ。苦笑いするしかなかった。

でもよくよく考えると、この世にエナジードリンクという不自然な飲料品に頼ってまで、ひとが駆り立てられなければならないものなんてあるんだろうか?

それはドーピングと同じで、自然に均衡をとっている存在であるはずの人間を、ひどく不安定で危うい秩序のなかにいることを可能にさせる。

だが、その一連のプロセスやそうして得られる成果物に、はたしてどれほどの意味があるのか。

授けられた翼で飛ぶくらいだったら、自分で翼を生やす努力をしたいのだ。

とこんな感じで、ぼくはエナジードリンクに対しては否定的な立場なのだが、それでもこのcookbookを買ったのは、ひとえにそのヴィジュアルが優れていたからだ。

「ENERGY : COCKTAILS TO GET YOU UP」。

アメリカの独立系出版社 powerHouse Booksが2015年に出版した、エナジードリンクを使ったカクテルのレシピ集。

次回からはこのcookbookの詳細について、書いていこうと思う。

ちなみに、あのときぼくが頼ろうとした「モンスター エナジー」は、初心を忘れないために、いまだ栓を開けられないまま、冷蔵庫の一番上にしまってある。

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