#005 表紙カバーに取り入れられたメキシコ伝統技術

PHAIDON社の「MEXICO THE COOKBOOK」について、前回からそのエディトリアルデザイン面を見ていっている。

おさらいをしておくと、このcookbookのデザインを手がけているのは、デザイナーのAntónio Silveira Gomesを中心とする「barbara says…」というリスボンのデザイン集団であった。

そしてここからが本題となるのだが、「barbara says…」がこの書籍をデザインするにあたり、意匠として取り入れたのが、メキシコの伝統的な切り絵細工である「パペルピカド」なのだ。

パペルピカドは、祭りのときに室内や屋外に飾られるカラフルな切り絵細工。読者のみなさんも、小学校での誕生会などで折り紙を切って、紙飾りを作った経験があるかと思うが、イメージとしてはおおよそあんな感じである。

Pictures just don't do these colors any justice! Preparing a #papelpicado #banner for a custom #cincodemayo order. So festive! ¡Ole! #ilovepaper

Paper Bee Boutiqueさん(@paperbeeboutique)が投稿した写真 –

このパペルピカドは、そんな紙飾りを本格的な伝統技術の粋にまで高めたもの。

なかでもメキシコのプエブラ州にあるウイスコロトゥラという村は、パペルピカドの産地として有名で、1998年に州政府によってパペルピカドが州の文化遺産に指定されているのだそうだ。

そのつくり方は、色のついた薄紙を数十枚重ねて、鑿と鎚をつかっていっぺんに彫っていくというもの。その作業のようすをみるかぎり、これはもう本格的な彫刻美術だ。

いまは薄紙を使っているが、かつてはアマーテと呼ばれる、イチジクの樹皮から作られる厚手の紙が使われていたらしい。スペイン征服以前のアステカの時代から作られていたというから、とても長い歴史のある伝統技術なのだ。

で話を戻すと、barbara says… は「MEXICO THE COOKBOOK」をデザインするにあたり、そのパペルピカドの意匠を採用した。このとおり、カバーの表紙と背表紙の部分が透かし彫りになっている。

カバーの「彫られた」部分からは、表紙本体のオレンジ色が透けて見えることで、ピンクとオレンジのツートンという見た目を演出しているのだ。

これはちょっと感動ものです。ムダにカバーをつけたり外したりしてしまう。

そんなパペルピカドであるが、メキシコではそれぞれの色にきちんとした意味があるらしい。

例えば、聖母マリアを祝福する祭りのときには、水色と白、ピンクの3色が用いられ、守護聖人を祝福するときは黄色と白、というふうに、使われる色が決まっているのだ。

イースターの時には薄紫が用いられ、9月にある独立記念日には国旗の色である赤、白、緑のパペルピカドで街中が彩られる。

そしてメキシコの最重要行事である「死者の日」には、あざやかなピンクとオレンジ、紫の色彩が街を埋め尽くすのだ。

Catrinas, pan de muerto, chocolate, y un altar. México #diademuerto #México #vscopicture #vscocam

Ana Felicia Villavicencioさん(@anafe_villavicencio)が投稿した写真 –

「MEXICO THE COOKBOOK」の表紙も、ピンクとオレンジと紫。そして髑髏の透かし彫り。

そう、barbara says… は「死者の日」に飾られるパペルピカドをモチーフに、このcookbookをデザインしたのだ。

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