#002 cookbookの魅力

cookbookというのは「料理本」のことだ。「レシピ本」と言い換えてもいいかもしれない。

本来の用途は、料理を作るための食材をリストアップしたり、調理の手順を確認するためのもの。とことん実用的な書籍であるはずだ。

だけどぼくはこう思っている。cookbookは、たとえ料理をしなくてもそれ自体充分に楽しむことのできる書籍なのだ、と。

最初はぼくもcookbookに興味がなかった。いままで写真集を蒐集してきたが、それは写真家の目を通した世界がどんなものかを知りたかったからであって、料理は他人のフィルターを通じてまで見るほどの世界ではないという認識だった。

その認識を変えてくれたのは、数年前に妻が購入したPHAIDON社の「NOMA」というcookbookだ。

デンマークのコペンハーゲンに、蟻を食べさせることでセンセーションを巻き起こしたNomaというレストランがある。そのNomaのレシピと料理哲学を取り扱ったこのcookbookは、いままでぼくがページを繰ってきた写真集と何ら変わることのない体験を与えてくれたのだ。

すなわち、そこには北欧という、農産物の生産には決して適していない厳しい土地の風景があり、そんな場所に新たな食文化を打ちたてようとする農家たち、漁師たち、そして料理人たちの肖像、ひとの生の息吹があった。写真集と同様、そこには世界があったのだった。造本だって素晴らしいし、巻末にはていねいに料理のつくり方まで載っている! 

こういうふうにきちんと造られているcookbookだったら、もっとたくさん見てみたい。そう思った。

cookbookは、決して料理をつくるためだけの実用の書籍ではない。あなたは写真集のページをめくるときのように、cookbookを見て、触って、想像することができる。そしてお腹がすいたら料理を作ることだってできる。

このマガジンではcookbookのさまざまな楽しみ方を探っていきたい。

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