人生のすべては映画に教わった!? あのパラダイス座が静岡県清水区蒲原にあった

先月11月に開催され先頃終了したアートイベント、するがのくにの芸術祭 富士の山ビエンナーレ

その展示会場や展示作品については、先日の記事でご紹介したところだが、実はその展示会場の中に、実に気になるところがあった。

蒲原地区にあった旧蒲原劇場。

この会場では、美術作家の鈴木孝幸さんが石や土を使った作品を展示していた。

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もちろん作品自体も素晴らしいものだったのだが、それと同じくらい、この会場はぼくにとってインパクトの強いものだったので、今回はこの旧蒲原劇場にスポットを当てた記事を書いてみたいと思う。

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旧蒲原劇場は、その名の通り、かつて(こちらの記事によると30年くらい前まで)映画館であったという建物で、現在はすでに廃屋となっているようである。

今回はビエンナーレの会場に選ばれたということもあって、特別に屋内を解放したのだろう。

が、そこに足を一歩踏み入れたその時、ぼくの頭の中にはあの名画『ニュー・シネマ・パラダイス』のワンシーン、晴れて有名監督となったトト(ジャック・ペラン)が故郷のシチリアの映画館「パラダイス座」の跡地を訪れるシーンがよみがえったのだ。

旧蒲原劇場の2階に残されていたのは、かつては賑わいを見せていただろう映画館の面影たち。

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映写室には大型の映写機が2台据え付けられ、排気用のダクトが伸びている。昔の映写機は非常に熱くなったので、このような排熱の装置が必要だったのだ。

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壁には映写用の穴と、映写技師がスクリーンを確認するための窓があいている。

ちなみに、昔のほとんどの映写室には映写機が2台設置されていた。

アナログフィルムの場合、1本のリールに巻き取られたフィルムは15分から20分程度。これでは映画1本を上映するにはとても足りない。

そこで、最初に1台の映写機で上映を始め、フィルムが終わりそうになると、タイミングを見計らって2台目の映写機で続きのフィルムを映し出す。このスムースな映写機の切り替えが映写技師の腕の見せ所だったのだ(ということを、ぼくは『ニュー・シネマ・パラダイス』を通じて学んだ)。

今でも昔の映画なんかを観ると、20分おきくらいに画面の右に黒い点が出てくることがあるが、これがフィルムチェンジの合図というわけ。

映写室がとても暗かったのでブレブレでもうしわけないが、映写機のディテールを何枚か。

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続いて配電系。

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スピーカー。

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映写室の隣には窓のある明るい小部屋があって、往年のスターたち(ごめんなさい、ぼくには誰かまでは分かりません)のポスターからの切り抜きが残っていた。

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また、部屋には作り付けの棚があって、そこには映画会社の名前がマジックで書かれている。

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今となっては懐かしい名前もある。

たぶん、この棚に映画会社ごとに映写フィルムが保管されていたのだろう。

映写室の入り口の扉には立ち入り禁止のステッカーが。

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昭和を感じさせるフォントだ。

保管庫と反対側の北側の窓には、カットされたフィルムのコマがはさまれていた。

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これが鈴木さんの作品の一部なのか、それとも元々この場所にあったものなのかは分からないのだが、なんとも『ニュー・シネマ・パラダイス』な小道具ではないか!

映画のタイトルバックの前に流れる、松竹や東映などの配給会社のロゴマークのコマであった。

 

それにしても、これだけの映写設備をなぜそのまま残してあるのだろうか。

撤去するのにも費用がかかるので、放置するしかないのだろうか。

きっと大がかりになるだろうが、それでもちゃんと手を入れれば、また映画館としての機能を回復できるような気がして(いや、それはたぶん無理だ)、地域の映画館という社交場をなんとか後世に残すことができないものかと考えてしまった。

というわけで旧蒲原劇場の紹介でした。

たぶん普段は立ち入ることができないと思うので、この廃れた『パラダイス座』を実際に見てみたい人は、再来年のビエンナーレを楽しみにするしかないのだろう。


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